長年勤めた職場を辞した私はまず地元区役所の福祉課を訪ね、再就職に繋がる勉強や職能訓練が何処かで出来ないものかを相談することにしました。 同時にハローワークへも通い、求人情報などを検索しつつ視覚障害者として最大限働ける機会を探ることとしました。 その過程で障害者一人一人の働く機会を増やすために、行政側がさまざまな取り組みをしていることを知りました。
その後“障害者就労生活支援センター”へ行き「自分に合った仕事がないか」、あるとすればそれへ就くために「どのような職能スキルを磨かねばならないのか」などを尋ねたりしました。
センターの人は、視覚障害者の相談へ応じたケースが少ないことを述べ、それでも私のこれまでに培った経験が必ず次の仕事に繋がる、と自信を持つよう励ましてくれました。
私の個性、私の持ち味…そういったものが必ず社会へ役立つ時が来るのだから、と。
そういう意味では、前職を勤め続けたことが決して無駄では無かったのだな、と少しばかりの自信を持つことが出来ました。
視覚障害者のリハビリテーション施設へ通い始め沢山の方と出会ったのも同じ頃でした。 視覚障害と一言で言ってもその内容は一人一人皆違いますが、見えていないことで肩身のせまい思いをするといったことはここでは全くありませんでした。 それどころか見えていなくても様々なチャンスを捉え、職能や生き甲斐といったものを育もうと一心に向かっていく人たちの姿を目の当たりにし
(仕事を辞めた空しさに捕らわれて、怠けたり甘えたりばかりしていちゃダメなんだ。私もこれからの人生をもっと有意義なものにしていかないと…)
と、新たに考え直すきっかけとなったものでした。
施設へは1年近く通いながら、勉強やレクリエーションに参加をしました。 正しいとされる白杖の扱い方も教えてもらうことが出来、そうして人一人がまっすぐ進んでいくために、大勢の方々の陰からの支えが有るということを改めて実感した日々でした。
その後幾度かの面接を経て現在の職場へと就職が決まり、働けることの喜びに晴れ晴れとした思いでいた約二年前のあの日のことを、今もまざまざと思い起こせる私であったりします。
居場所がある、自分が他人から認められ必要とされている。
それがどんなに素晴らしく貴重なことであるのか……
少しばかりはそれを知っていると言える、そんな今の私であったりします。
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