白杖を自身の“パートナー”として上手に扱うためにはある程度の心得とトレーニングが必要でした。 それを知らずに手に入れた当時は、まさに手探りな状態から自己流で始めたというのが私の白杖デビューとなりました。
ここで正しいとされる白杖の扱い方を、文章で説明させて頂きましょう。
私に教えてくれた方は訓練資格を持つ人でしたので、以下の通りで大きな誤りはないと思います。
まず白杖の長さですが、体格に合わせた長短様々なサイズがあります。
垂直に立てた白杖の全長が、本人の足元からみぞおちまで位のものとなるのが宜しいようです。腕の長さにも個人差があるので一概には言えませんが、
自身の“正中線”といわれる真芯の部分から外れることの無い様に、先端を前方へ下ろすようにします。
背筋はまっすぐ自然に伸ばし、ベルト上からヘソ前辺りで白杖の柄尻を握って先端を床面へ触れさせます。
白杖は利き腕で持つ方が多いようですが、これには先端を繊細かつ機敏に扱えることと、そもそも利き腕の方が力も強く、長時間の使用が出来ることが大きいようです。
手首をしっかり据えるように位置決めをし、そこからなるべくブレないようにしながら杖の先端を左右にリズム良く振ります。振り子のようなイメージでしょうか。
この時自身の中で、振りやすい角度のようなものを見つけていくのですが
もっとも大事なのは
“周囲の人にも認識しやすいように”
振ることと
“自身の安全を確保するために”
杖から伝わる情報を感じ取ることの二点といえます。
自身の存在、視覚障害を持つ人間が歩いていることを行く手だけでなく後ろや横方向からやって来る全ての人に認識してもらい、
互いの接触による事故や怪我の無いよう、人から見えやすい振幅の幅や角度、リズムを意識しながら左右に白杖を振ります。
肩幅程度に振っていないと特に真後ろからは自身の脚に遮られ見えにくいようです。
先端は床や地面から離さず、常に擦るようにしながら行き先の足元情報を常に得るようにします。
リズムを取ろうとする余り、地面をタップするかのようにトン、トンと弾ませながら振ることは、
宙に浮いているその間の足元情報を得ることが出来ないため好ましくないようです。
簡単に説明をさせて頂きましたが 上記のような白杖の扱い方であれば片手を空けておく事が出来ます。カバンを携えたり傘を差したりする事も可能ですが、 咄嗟の時のことを考えると常にフリーにしておく方が良いだろうと思われます。
ここまでを書きましたが、実は私個人の白杖の振り方は普段は違っていて 先に述べた自己流の、両手持ちが今も主となっています。 込み合う駅や地下街の往来で、自身の杖の先端を踏まれないようにする必要性から角度を立てた両手振りとしているのですが、 それでも後ろから私を追い抜き、真ん前へ来ようとする人にはよく蹴散らされてしまいますのでラッシュアワーの時間帯に移動する際はとても気を使います。
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