コラム6 │ ハッピーモニターオフィス

自分の病気と向き合う1~苦手なことが増えてきました~


網膜色素変性症との付き合い-こんなことが苦手になるとは!でもまだこれはできる-

網膜色素変性症はひと月ふた月といった期間で急激に進行をする病気ではありませんが、つい数年前までは出来ていたことを久し振りにやってみると、 思うように、はかどらなかったりすると、ジワジワ来ているんだなと実感したりします。

医師より病名の宣告を受けた当時は、私って本当にそんな病気なんだろうか?などと考えたりするほどで、止めておいた方が良いだろうと言われた 自動車やオートバイの運転についても暫く続けておりました。 仕事に直接影響が出るというものではなかったのですが、自身の持つ数少ない免許や資格のうちの2つを手放す気にはなれなかったのでした。
仕事に関わることでは、催事の案内ポスターをたくさん掲示する時などに苦労を感じるようになっていました。所定の位置に歪ませず整然と貼るためには 1枚、1枚天地左右の全てへ気を配らなければならないことを、頭では承知をしていても、ポスターを両手で持ち、壁へ向かえば四隅が自分の視野からは 完全に外れてしまうのです。 そうなると紙面の水平や垂直を推し量るのは難しく、作業をするのが困難になっていき、やがて貼れる限度のサイズも どんどんと小さくなっていくのでした。 そんな具合ですので、作業中に画ビョウなど、踏むと危険なものを落としでもした際には、お客様に「もしも何かあっては!」と本当に真っ青になる位うろたえたものでした。
掃き掃除については、片手にチリトリ片手にホウキといったスタイルで、落ちているゴミを見つけながら掃き取っていく、ただそれだけの作業でしたが 見えている範囲が狭い、特に、今いる自分の足元が一番おろそかになりがちなのを知っていながらも、取りこぼしてしまうので、全部掃き終わったと思っていても気を抜くことが出来ません。

職場の事務所と現場の間には、比較的交通量の多い二車線道路があって、そこを行き来するためには信号機の無い横断歩道をいく度も渡らねばなりませんでした。 朝から夜まで、一日に何度も渡るその度に視野の狭い目で危険がないかを確認するのはストレスが溜まります。
白杖を持っていれば、それらの負担もかなり減って、仲間からも気を使ってもらえるはず……そう考えていた私でしたが、 フタを開けてみれば実際は、仕事中に杖を携行させてはもらえず、「ゆっくりでいいから自分の目で見て歩け。」といったことになってしまいました。 白杖と障害者手帳を事務所へ見せたことで、こちらの病気に対しての理解度がほんの少し増したように感じはしたものの、 忙しさに流されるように次第にそれも忘れ去られてしまう、といった状況だったのでした。

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